昔、昔、私が5、6才の頃 母方の祖父がよくムンガタイ(昔話)を聞かせてくれました。
祖父は太鼓をたたく名人で よく集落の冠婚葬祭の席で 太鼓をたたきながら 歌を披露していたそうです。
そんな祖父のムンガタイはとてもリアルで声にメリハリがあり とても生々しく子供の私にとって 今にもそこから何か出てくるのでは? と思わせるほどでした。
祖父の家に行くと よく膝の上に座り ムンガタイをしてくれとせがんだ事を今でも覚えています。
ただ、寝ながら聞いていると 最後まで聞く事なく 話の途中で寝てしまった記憶が よみがえってきます。
一 寸 法 師
語り部:(上平川) 平 前信
年を取った お爺さんと お婆さんが住んでいました。
子供がいないので、子供を授けて下さるようにと神社を巡って願いをかけたところ、お婆さんの膝が膨らんできて、やがてその中から一寸法師が生まれました。
一寸法師は利口で元気者でした。
お爺さんが畑で仕事をしていると、馬に乗った役人が二人通りかかって、お爺さんに難題をかけました。
自分たちが用を済ませて帰ってくるまでに、何回鍬で土を耕したか数えておけと言うのです。
お爺さんは数えましたが すぐ間違えてしまって 心配しているところへ一寸法師が弁当を持って来ました。
お爺さんがその話をすると、そんな返答は簡単なことだと言って 待っていると 役人が帰って来ました。
何回鍬で畑を耕したかというので 一寸法師は反対に あなた方の馬の蹄の音はいくつありましたかと聞き返しました。
役人は返答に困って、今度は一寸法師にモチを二つ与えて それを両手に一つづつ持って 両方をかわるがわる続けて食べろと言いました。
その通りすると、どちらのモチが美味しかったかと聞くのです。
そこで一寸法師が両手をたたいて 今どちらの手が鳴りましたかと言ったので 役人は負けて帰っていきました。
一寸法師のおかげで、お爺さんは役人からお咎めを受けることなく 三人仲良く楽しく暮らしましたとさ。